Loupe Holederica

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まえがき

 ボクらの住むこの星はまるい。足元に何気無く存在する平面の大地を約四万キロ歩き続けると、いずれは元居た場所に戻って来ることだろう。それは、この世界が始めと終わりでつながった、まるい物体であることを示している。小さな平面をパッチワークしたこの世界は、ありえない大きさの球体に包まれたテクスチャだ。

 テクスチャは、物体の表面の質感や模様、手で直接触った際の感触などを指す概念である。様々な色や音で織られた三次元の生地が、国と呼ばれるものだとしたら、それらが継ぎ接ぎされた大きな世界地図のテクスチャ中で、ボクらは暮らしている。戻ることのない時間の中で、このまるい星は、様々な夢と現から成る人間という糸で紡いだ、不思議な模様の生地を自発的に作り続ける。それがこの星を覆う一枚の大きなテクスチャなのだ。

 生地の断片はタイムラインに沿って、常に形を変える。一度ほどいてしまうと、再び紡ぎ合わせた時に、始めと終わりが元あった形でつながるかどうかは不明だ。しかし、たとえそれが同じでなくとも、世界が始めと終わりでつながっていることに変わりがない。この星はまるいのだ。ためしに地上から数百km上空までジャンプして、その継ぎ目を確かめてみるのも良いかもしれない。

 キルキンのチャスカは、そんなまんまるい星の継ぎ目の物語。